2022年10月、イーロン・マスク氏によるTwitter買収が完了し、プラットフォームに大きな変化が訪れました。マスク氏の目標は、TwitterをWeChat風のような「すべてを包括するアプリ」であるXに変革することでした。
しかし、この過程で多くのユーザーが「改悪」と感じる変更が次々と行われ、プラットフォームの在り方に大きな議論を巻き起こしています。
本記事では、マスク氏による主な変更を時系列で追い、その影響と今後の展望について考察します。
2022年:買収と初期の変更
2022年10月28日、マスク氏によるTwitter買収が完了し、直ちに大規模な変更が始まりました。
- 大規模な人員削減:従業員の約半数が解雇される
- モデレーションチームの縮小:コンテンツ管理体制が大幅に弱体化
- プライベート企業化:TwitterはX Corpに統合され、非公開企業となる
これらの変更により、プラットフォームの運営体制が大きく変わり、ユーザーの間に不安が広がりました。特にモデレーションチームの縮小は、プラットフォーム上の有害コンテンツ増加につながるのではないかと懸念されました。
2023年:大きな転換点
2023年は、Twitterから「X」への移行が本格化した年でした。
- 4月:認証バッジシステムの変更
- 青色の認証バッジが有料化され、「Twitter Blue」(後の「X Premium」)の一部となる
- 7月:TwitterからXへの名称・ロゴ変更
- 突如として実施され、長年親しまれてきたブランドイメージが一新される
- 7月:閲覧制限の導入
- 非ログインユーザーや無料ユーザーの1日の投稿閲覧数に制限が設けられる
- 10月:ニュース記事引用時の見出し非表示
- リンク投稿時に記事の見出しや要約が表示されなくなる
- 12月:メディア欄の表示変更
- 画像や動画の表示方法が変更され、ユーザビリティが低下したとの声が上がる
これらの変更は、ユーザーエクスペリエンスに大きな影響を与え、多くの批判を浴びました。特に閲覧制限の導入は、非ログインユーザーの情報へのアクセスを制限するものとして強い反発を招きました。
2024年:さらなる変化
2024年に入ってからも、Xプラットフォームの変革は続いています。
- 発言の「自由度」増加:
- 規制緩和により、過激な投稿や誹謗中傷が増加したという指摘がある
- エコーチェンバー化の加速:
- 同じ意見を持つ人々だけが集まる状況が強まったとの懸念が出ている
- 5月17日:ドメイン名の変更
- twitter.comからx.comへの移行が完了
- ブロック機能の仕様変更の予告:
- ブロックしたユーザーでも公開アカウントの投稿を閲覧可能にする予告
特に9月24日にマスク氏によって投稿された、ブロック機能の使用変更を予告するような内容は、「ブロック改悪」としてトレンド入りするほど大きな反響を呼びました。
ユーザーからは「投稿を見られたくないからブロックしているのに」という不満の声が多く上がっています。
ユーザーの反応と影響
これらの変更に対するユーザーの反応は概して否定的です。
- プライバシーとセキュリティへの懸念が高まる
- プラットフォームの「治安悪化」を感じるユーザーが増加
- 一部のユーザーが他のSNSプラットフォームへ移行
一方で、マスク氏の「自由な言論空間を作る」という思想を支持する声も存在します。
しかし、全体としてはプラットフォームの利用状況に変化が見られ、特に企業や公的機関の利用に慎重な姿勢が見られるようになりました。
今後の展望
Xの今後については、以下のような変更が予想されます。
- AIの更なる統合:検索機能や広告関連性の向上
- 決済機能の導入:P2P決済やその他の金融サービスの実装
- コンテンツ創作の強化:オリジナルコンテンツの制作と新たな才能の発掘
しかし、これらの変更が「改善」となるか「改悪」となるかは、ユーザーの受け止め方次第です。特に、プライバシーとコンテンツ制御の更なる緩和や、基本機能の有料化などが懸念されています。
まとめ
イーロン・マスクによるX(旧Twitter)の改革は、プラットフォームに大きな変化をもたらしました。「自由な言論空間」の実現を目指す一方で、多くのユーザーにとっては使いやすさやプライバシー、安全性の低下につながっているという現状から「改悪」という評価になっているようです。
Xプラットフォームの今後は、マスク氏の「すべてを包括するアプリ」というビジョンに沿って進化を続けると予想されますが、同時にユーザーの声にも耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。
プラットフォームの健全性を保ちつつ、イノベーションを推進するバランスが求められています。
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